FY2026ガイダンスは€43-45Bへ一段抜け、売上総利益率は54-56%へ。2027年は約85台のEUVでほぼ完売、2030年フレームワークには4年前倒しで到達。それでもアムステルダムは下落で引けた。アウトパフォーム据え置き。
ASML 財務モデル
Income Statement · EUR in millions, except per share (EPS in EUR)
| Income Statement | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 実績 | 予想 | |||||
| FY2023 | FY2024 | FY2025 | FY2026E | FY2027E | FY2028E | |
| Net System Sales | €21,938.6 | €21,768.7 | €24,474.3 | €32,793.0 | €41,272.8 | €50,614.0 |
| Net Service and Field Option Sales (Installed Base Mgmt) | 5,619.9 | 6,494.2 | 8,193.0 | 11,199.6 | 12,846.2 | 13,888.2 |
| Total Net Sales | €27,558.5 | €28,262.9 | €32,667.3 | €43,992.5 | €54,119.0 | €64,502.2 |
| Less: Total Cost of Sales | (€13,422.4) | (€13,770.9) | (€15,409.3) | (€19,794.2) | (€23,874.3) | (€28,087.8) |
| Gross Profit | €14,136.1 | €14,492.0 | €17,258.0 | €24,198.3 | €30,244.6 | €36,414.4 |
| Other Income (4Q21 divestiture gain) | €0.0 | €0.0 | €0.0 | €0.0 | €0.0 | €0.0 |
| Less: Research and Development Costs | (3,980.6) | (4,303.7) | (4,698.8) | (4,897.5) | (5,286.5) | (5,820.1) |
| Less: Selling, General and Administrative Costs | (1,113.2) | (1,165.7) | (1,257.8) | (1,412.1) | (1,713.4) | (1,854.6) |
| Income from Operations | €9,042.3 | €9,022.6 | €11,301.4 | €17,888.7 | €23,244.7 | €28,739.7 |
| Interest and Other, Net | €41.2 | €19.8 | €104.7 | €140.9 | €140.0 | €140.0 |
| Income Before Income Taxes | €9,083.5 | €9,042.4 | €11,406.1 | €18,029.6 | €23,384.7 | €28,879.7 |
| Less: Benefit from (Provision for) Income Taxes | (€1,435.8) | (€1,680.6) | (€2,013.4) | (€3,107.5) | (€4,022.2) | (€4,967.3) |
| Income After Income Taxes | €7,647.7 | €7,361.8 | €9,392.7 | €14,922.1 | €19,362.6 | €23,912.4 |
| Profit Related to Equity Method Investments | €191.3 | €209.8 | €216.7 | €285.7 | €280.0 | €280.0 |
| Net Income | €7,839.0 | €7,571.6 | €9,609.4 | €15,207.8 | €19,642.6 | €24,192.4 |
| Shares — Weighted Avg Basic (M) | 393.8 | 393.3 | 388.5 | 384.4 | 382.2 | 380.2 |
| Shares — Weighted Avg Diluted (M) | 394.1 | 393.6 | 388.9 | 384.7 | 382.6 | 380.6 |
| EPS — Basic | €19.91 | €19.25 | €24.73 | €39.57 | €51.39 | €63.62 |
| EPS — Diluted | €19.89 | €19.24 | €24.71 | €39.53 | €51.33 | €63.56 |
| Ratios & Assumptions | ||||||
| YoY Total Net Sales Growth | 30.2% | 2.6% | 15.6% | 34.7% | 23.0% | 19.2% |
| YoY Net System Sales Growth | 42.2% | (0.8%) | 12.4% | 34.0% | 25.9% | 22.6% |
| YoY Installed Base Mgmt Sales Growth | (2.1%) | 15.6% | 26.2% | 36.7% | 14.7% | 8.1% |
完全版には過去 22 四半期と予想 10 四半期、さらに KPI Drivers · Balance Sheet · Cash Flow Statement を収録する。小計はすべて生きた数式、予想はすべてドライバーまで遡及できる。
主要ポイント
- 数字はクリーンで、上振れの質も高い。純売上高€9,326.5Mは€8.4-9.0Bというガイダンスの上限を超え、コンセンサス€8.80Bを6.0%上回った。売上総利益率54.0%はコンセンサス51.9%を210bp、51-52%というガイダンスの上限を200bp上回った。EPS€7.59は前年同期比+28.6%。インストールドベース管理(IBM)事業の売上高€2,761.7Mがガイダンスを約€260M上回り、売上高・利益率双方の上振れを牽引した。
- 今回の主役はガイダンス引き上げであり、しかも通常のそれではない。FY2026は€36-40Bから€43-45Bへ。中央値が一度に€6B(+15.8%)跳ね上がり、売上総利益率も51-53%から54-56%へ。新中央値€44Bは、2030年に向けた既存フレームワーク€44-60Bの下限にちょうど一致する。つまり4年前倒しでの到達である。当該フレームワークはこれで陳腐化したが、その改定は2027年6月10日のキャピタルマーケッツデイまで行われない。
- 問題は年間の「形」である。今回のガイダンスは、中央値ベースで第4四半期に約€14.4Bを要求する。今回発表された四半期を54%上回り、史上最高の四半期(2025年第4四半期、€9,718.1M)をも48%上回る水準だ。この銘柄のリスクは需要から離れ(需要は2027年までほぼ受注済みである)、ASML自身の生産ランプへと移った。
- 相場は決算内容に真っ向から異を唱えた。アムステルダムは日中7.87%急騰し、オプション織り込み変動率8.36%にほぼ到達した後、上昇分を丸ごと吐き出して0.41%安で引けた。ADRの+2.2%はこの日を実態以上に良く見せている。欧州市場は米国東部時間11時30分に、米国株の上昇が始まる前に引けたためだ。今回の決算で目標株価を引き上げたセルサイドは一社もなく、ASMLが上昇する一方で半導体製造装置セクターは2.5-3.1%下落した。
- レーティング:アウトパフォーム据え置き。ただし確信度は10段階中7へ引き下げ。この日、利益予想は約25%切り上がった一方で株価は2%しか動かず、予想PERは約49倍から約40倍へ低下した。つまり、昨日より安い値段で同じ利益を買えるということだ。しかし、2025年第3四半期の格上げ時の投資命題(需要フレームワークの回復)はすでに完全に成就しており、ポジションは混み合い、下期のランプは正真正銘のコイントスである。$1,815で追いかけるつもりはない。
コンセンサス比較
2026年第2四半期 スコアカード(ユーロ建て)
| 指標 | 2026年第2四半期 実績 | コンセンサス | 会社ガイダンス | 上振れ/下振れ | 幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 総純売上高 | €9,326.5M | €8.80B | €8.4-9.0B | 上振れ | コンセンサス比+6.0%、ガイダンス上限超え |
| システム純売上高 | €6,564.8M | n/a | n/a | n/a | 前年同期比+17.3% |
| インストールドベース管理売上高 | €2,761.7M | n/a | ~€2.5B | 上振れ | ガイダンス比+約€260M |
| 売上総利益率 | 54.0% | 51.9% | 51-52% | 上振れ | コンセンサス比+210bp、ガイダンス上限比+200bp |
| 研究開発費 | €1,276.6M | n/a | ~€1.2B | ガイダンス超過 | 変革関連費用 |
| 販売管理費 | €302.7M | n/a | ~€0.3B | ほぼ一致 | 前期比横ばい |
| 営業利益 | €3,456.1M | n/a | n/a | n/a | 利益率37.1%、前年同期比+250bp |
| 当期純利益 | €2,917.6M | n/a | n/a | 上振れ | 純売上高比31.3% |
| EPS(基本) | €7.59 | ~€6.85-6.99(推計) | n/a | 上振れ | ~+9%から+11% |
| フリーキャッシュフロー | €1,317.0M | n/a | n/a | n/a | 現金転換率58% |
| リソグラフィ装置販売台数 | 91台 | n/a | n/a | n/a | 新品86台+中古5台、前年同期比+19.7% |
| 純受注 | 非開示。ASMLは2026年第1四半期より四半期受注の開示を取りやめた。コンセンサスも存在しない。 | ||||
前年同期比較(2026年第2四半期 vs. 2025年第2四半期)
| 指標 | 2026年第2四半期 | 2025年第2四半期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| システム純売上高 | €6,564.8M | €5,596.1M | +17.3% |
| インストールドベース管理売上高 | €2,761.7M | €2,095.6M | +31.8% |
| 総純売上高 | €9,326.5M | €7,691.7M | +21.3% |
| 売上総利益 | €5,035.4M | €4,129.5M | +21.9% |
| 売上総利益率 | 54.0% | 53.7% | +30bp |
| 研究開発費 | €1,276.6M | €1,166.7M | +9.4% |
| 販売管理費 | €302.7M | €298.7M | +1.3% |
| 営業利益 | €3,456.1M | €2,664.1M | +29.7% |
| 営業利益率 | 37.1% | 34.6% | +250bp |
| 当期純利益 | €2,917.6M | €2,290.3M | +27.4% |
| EPS(基本) | €7.59 | €5.90 | +28.6% |
| リソグラフィ装置販売台数 | 91 | 76 | +19.7% |
| 実効税率 | 17.5% | 18.1% | -60bp |
| 加重平均株式数(基本) | 384.5M | 388.2M | -1.0% |
前期比較(2026年第2四半期 vs. 2026年第1四半期)
| 指標 | 2026年第2四半期 | 2026年第1四半期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| システム純売上高 | €6,564.8M | €6,279.4M | +4.5% |
| インストールドベース管理売上高 | €2,761.7M | €2,487.5M | +11.0% |
| 総純売上高 | €9,326.5M | €8,766.9M | +6.4% |
| 売上総利益 | €5,035.4M | €4,645.0M | +8.4% |
| 売上総利益率 | 54.0% | 53.0% | +100bp |
| 営業利益 | €3,456.1M | €3,157.8M | +9.4% |
| 営業利益率 | 37.1% | 36.0% | +110bp |
| 当期純利益 | €2,917.6M | €2,756.7M | +5.8% |
| EPS(基本) | €7.59 | €7.15 | +6.2% |
| リソグラフィ装置販売台数 | 91 | 79 | +15.2% |
| 営業キャッシュフロー | €1,703.0M | (€2,185.6M) | 黒字転換 |
売上高の評価。ヘッドラインの上振れは本物だが、その幅より構成のほうが重要だ。システム純売上高が前年同期比17.3%増だったのに対し、インストールドベース管理は31.8%増。つまり事業構成は高利益率でアニュイティ的な半分へシフトした。これが売上総利益率がガイダンス上限を200bp上回った機械的な説明であり、経営陣も直接そう述べている。販売台数91台(新品86台、中古5台)は前四半期79台、前年同期76台に対する数字であり、生産ランプが価格やミックスの産物ではなく物理的に実在することを示している。最終市場の構成はほぼ均等で、システム純売上高に占めるロジック51%、メモリ49%。これは歴史的に見て高いメモリ比率であり、今回のサイクルを何が駆動しているかを示す最も明確な単一指標である。
利益率の評価。売上総利益率54.0%は直近5四半期で最高(底は2025年第3四半期の51.6%)であり、今朝まで有効だった通期ガイダンスの上限を上回る。営業利益率37.1%は、売上高21.3%増に対し販管費・研究開発費合計7.8%増という構図で、前年同期比250bp拡大した。先行きの設定はさらに良い。第3四半期ガイダンス55-57%と通期ガイダンス54-56%は、下期の売上総利益率が約56%となることを含意する。経営陣は4つの独立したドライバー(液浸およびLow-NA EUVの構成改善、Dモデル払底に伴うEUVの価格改善、高採算のインストールドベース事業の持続、大幅増量による固定費カバー)を挙げた。この4つはいずれも一過性ではない。なお、無視してよい開示上の癖が一つある。6か月ベースの売上総利益率は53.5%と、構成する両四半期のいずれをも下回るが、これは開示のとおりであって本稿の誤りではない。
EPSの評価。EPS€7.59は前年同期比28.6%増で、純利益の伸び27.4%を上回った。差分は自社株買いによる株式数1.0%減で説明がつく。質はクリーンだ。上振れは営業起因であって税制起因ではなく(実効税率17.5%は前年同期比わずか60bp低いだけで、通期ガイダンスの約17%と整合的)、営業外要因でもない(持分法投資利益€41.1Mはむしろ前年同期の€88.8Mから減少しており、追い風どころか小幅な逆風だった)。ベンダー由来のユーロ建てEPSコンセンサスは見つけられなかった。入手可能な二つの推計値は上振れ幅を+9%から+11%の範囲に置いており、当社は偽の精度を伴う数値を引用することを拒む。投資家はまた、広く流布しているドル建ての前年同期比EPS成長率も無視すべきである。米系ベンダー3社が前年同期のベースについて$4.55から$6.84までばらついており、実績は€5.90だからだ。
セグメント業績
ASMLはセグメント別営業利益率を開示していないため、以下の分析は純売上高構成、台数データ、および決算説明会で経営陣が示したFY2026成長率に基づく。本表のFY2026成長ガイダンスは本日時点で新規または更新されたものであり、プレスリリースには含まれていない。
売上構成とFY2026成長ガイダンス
| 項目 | 2026年第2四半期 | 全体比 | 前年同期比成長率 | FY2026ガイダンス | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| EUVシステム純売上高 | €3.8B | 全体の41% | n/a | >+45% | High-NA 1台を含む。通年でLow-NA約65台 |
| 非EUVシステム純売上高 | €2.8B | 全体の30% | n/a | ~+25% | 液浸約130台で2025年比横ばい。ドライDUVは大幅増 |
| システム純売上高 | €6,564.8M | 70% | +17.3% | n/a | リソグラフィ装置91台 |
| インストールドベース管理 | €2,761.7M | 30% | +31.8% | >+30% | ガイダンス比約+€260M。第3四半期は約€2.9Bガイド |
| 総純売上高 | €9,326.5M | 100% | +21.3% | €43-45B(+31%~+38%) | €36-40Bから引き上げ |
最終市場構成(システム純売上高)
| 最終市場 | 2026年第2四半期 構成比 | FY2026 システム純売上高ガイダンス | ドライバー |
|---|---|---|---|
| ロジック | 51% | 先端ロジックファウンドリ >+25% | AIアクセラレータ向け3nm拡張、多様なAIチップ群向けの5nmおよび4nm、立ち上がり中の2nm、始動する1.4nm投資 |
| メモリ | 49% | >+75% | DDRおよびHBMの価格上昇がファブ拡張を駆動、複数のメガファブが計画中、1b/1cノードがEUVレイヤー数を押し上げ |
| 中国(地域別) | n/a | 総純売上高の約20% | 全社と同水準。主にメインストリームロジック、国内主導の需要 |
メモリ:今四半期のエンジンであり、最大の疑問でもある
システム純売上高の49%というメモリ比率はASMLにとって異例の高さであり、構成の中で最も重要な数字である。メモリ関連システム純売上高が75%超成長するというFY2026ガイダンスは、通常のサイクルの数字ではない。分析上興味深いのは、経営陣がこれを一つの要因ではなく、二つの独立した効果の重ね合わせに帰していることだ。第一は数量。DDRもHBMも供給がひっ迫し、それに見合った価格がついているため、顧客がファブ能力を増設している。第二はリソグラフィ集約度。DRAMが1bおよび1cへ移行するにつれEUVレイヤー数が増え、そして決定的なことに、顧客はマルチパターニングをシングル露光EUVに置き換えつつある。そのほうが安いからだ。第二の効果こそが持続的なものである。これはリソ以外の工程からリソへの支出の恒久的な移転であり、DRAM価格が正常化しても元には戻らない。
「例えば1cノード、あるいは1bですら、巨大なノードになりますが、これらはより多くのEUVレイヤーを使います。まさにこの組み合わせが、今年、そしておそらく今後数年にわたって、DRAMにおけるASMLにとってある種のパーフェクトストームを作り出しているのです。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
評価。「パーフェクトストーム」は経営陣自身の言葉であり、両刃である。嵐とは定義上、平常の天気ではない。経営陣はHBMとDDRの寄与の内訳開示を拒んだが、まさにその内訳こそ、75%のうちどれだけが構造的なAI需要で、どれだけが平均回帰するDDRの価格急騰なのかを教えてくれるものだ。当社はリソグラフィ集約度の側を持続的、数量の側を循環的とみており、正直な読み筋としては、あの75%のうち相当部分は構造ではなく循環だと考える。これが現時点でこの銘柄における最も強い弱気論拠であり、注目すべきことに、決算説明会で誰一人としてそれを口にしなかった。
ロジック:派手さでは劣るが、信頼性で勝る
先端ロジックファウンドリのシステム純売上高25%超成長は、物語の静かな半分であり、より頼りになる半分である。注目すべき開示はその裾野の広さだ。経営陣が説明した投資は、現行世代のAIアクセラレータ向け3nmだけでなく、AI製品が要求する多様なチップ群を支えるための5nmおよび4nm、HPC・モバイル向けに急速に立ち上がる2nm、そして始動しつつある1.4nm開発費にも及ぶ。つまり4~5のノードが同時に資金を得ている。これは狭いAIアクセラレータブームの姿ではない。裾野の広い建設の姿である。
「ロジックでは投資が継続しています。最新世代のAIアクセラレータを支える3nm能力の拡張だけでなく、AI製品が要求する多様なチップ群を支えるために5nmおよび4nmの両ノードでも投資が続いています。同時に、2nmノードは次世代HPCおよびモバイル用途を支えるべく急速に立ち上がり続けています。顧客はすでに1.4nmノードの開発を支える投資を計画しています。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
評価。この複数ノードにわたる裾野の広さこそ、今回のリリースの中で、これが単一製品サイクルではないことを示す最良の証拠である。一つのアクセラレータ世代だけに駆動されたサイクルなら、3nmに集中した支出として現れるはずだ。5nm、4nm、3nm、2nm、そして初期の1.4nmにまたがる支出は、AI建設がGPUだけでなくチップのエコシステム全体を引っ張り上げていることを含意する。今回のガイダンスの中で当社が最も確信を持っている部分である。
インストールドベース管理:今四半期を上振れさせたフライホイール
インストールドベース事業は前年同期比31.8%増の€2,761.7Mとなり、ガイダンスを約€260M上回った。そしてこれが売上高・売上総利益率双方の上振れ理由であると明言された。その仕組みは平易に述べる価値がある。現時点でASMLモデルの中で最も過小評価されている部分だからだ。顧客はクリーンルームを建てられる速度よりも早く生産能力を欲しており、だからすでに所有している装置に生産性アップグレードを買う。ASMLがこれまで出荷したすべての装置がアップグレード機会になり、経営陣によればアップグレードのポートフォリオはいまやEUV Low-NAおよび液浸の全バージョンをカバーしている。第3四半期は約€2.9Bとさらに一段上がるガイダンスだ。
「今日の鍵となる要素は、顧客が既存ファブでできるだけ早くより多くの生産能力を得たがっている、ということです。これがシステムアップグレードにとって非常に強い条件を作り出しています…当社が開発しているアップグレード製品は、EUV Low-NAや液浸システムのあらゆるバージョンをカバーしています。基本的に、EUVまたは液浸装置のあらゆる単一バージョンに実装できる製品を顧客に提供できる状態にあるのです。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
評価。これは同社事業の中で最も質の高い成長であり、市場はこれを過小評価している。全社平均を上回る売上総利益率を持ち、クリーンルームを必要とせず、既存設備とともに機械的に複利で積み上がり、しかも顧客が能力制約に直面しているときにこそ需要が最も強い。加えて有用な意味で幾分カウンターシクリカルでもある。新規ファブ建設が減速すれば、既存設備をアップグレードする誘因は下がるのではなく上がるからだ。経営陣は顧客の要請を受け、新しいアップグレード製品を2027年・2028年へ前倒ししつつある。
中国:約20%で安定、そして目立って議論されなかった
中国は通年で総純売上高の約20%にとどまり、全社と同水準で成長している。主な牽引役は国内需要に応えるメインストリームロジックだ。この比率は動いていない。注目すべきは数字ではなく、その周りの沈黙である。輸出規制は決算説明会でまったく話題に上らなかった。経営陣からも、質問した10人のアナリストの誰からもだ。
評価。数字については中立、沈黙については軽度にネガティブ。前四半期、経営陣はわざわざ通期ガイダンスが輸出規制の潜在的な帰結を吸収しうると述べた。今四半期、この話題はそもそも上がらず、ガイダンスはその織り込みを再度言明することなく引き上げられた。これを悪化のシグナルとは読まないが、政策上の緩衝を再言明しないままガイダンスを引き上げたことは、4月に得た開示よりわずかに薄い。
主要KPI
| KPI | 2026年第2四半期 | 2026年第1四半期 | 2025年第2四半期 | トレンド | 読み筋 |
|---|---|---|---|---|---|
| リソグラフィ装置販売台数 | 91 | 79 | 76 | 上昇 | 生産ランプはミックスではなく物理的に実在 |
| 新品販売台数 | 86 | 67 | n/a | 上昇 | 前期比+19台 |
| 中古販売台数 | 5 | 12 | n/a | 低下 | 新品へのミックスシフト |
| 売上総利益率 | 54.0% | 53.0% | 53.7% | 上昇 | 直近5四半期で最高 |
| 営業利益率 | 37.1% | 36.0% | 34.6% | 上昇 | レバレッジが複利で効く |
| 純利益率 | 31.3% | 31.4% | 29.8% | 前期比横ばい | 持分法投資利益が前年同期比で減少 |
| 営業キャッシュフロー | €1,703.0M | (€2,185.6M) | €747.7M | 変動大 | 上期合計は€482.5Mのマイナスのまま |
| フリーキャッシュフロー | €1,317.0M | (€2,608M) | n/a | 上期マイナス | 転換率58%、上期FCF(€1,291M) |
| 売上債権 | €7,252.6M | €4,402.9M | €4,996.9M | 急増中 | 直近シリーズで断トツの最高水準 |
| 推計DSO(日) | 70.8日 | 45.2日 | 59.1日 | 悪化 | ウォッチ項目。後述 |
| 棚卸資産 | €11,739.5M | €11,711.2M | €11,575.8M | 横ばい | 健全:下期ランプ前の積み上がりなし |
| 従業員数(正社員換算) | 43,938 | 43,882 | 43,193 | 前年同期比+1.7% | 人員+1.7%で売上高+21.3% |
| 加重平均株式数(基本) | 384.5M | 385.4M | 388.2M | 減少中 | 第2四半期に€1.1B取得 |
ガイダンスと見通し
FY2026の引き上げ
| 指標 | 従来ガイダンス(2026年第1四半期) | 新ガイダンス(2026年第2四半期) | 市場の織り込み | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026 総純売上高 | €36-40B | €43-45B | €39.4B | 引き上げ:中央値€38B→€44B(+15.8%)、コンセンサス比約+11.7% |
| FY2026 売上総利益率 | 51-53% | 54-56% | n/a | 上下限とも+300bp引き上げ |
| FY2026 実効税率 | n/a | ~17% | n/a | 新規開示 |
| FY2026成長率 vs FY2025(€32.7B) | 中央値で+16% | 中央値で+34.6% | +20.5% | 2倍超 |
2026年第3四半期ガイダンス
| 指標 | 2026年第3四半期ガイダンス | 市場の織り込み | 2026年第2四半期比 | 注記 |
|---|---|---|---|---|
| 総純売上高 | €11.0-12.0B | €10.1-10.4B | 前期比+17.9%~+28.7% | 中央値でコンセンサス比約+12% |
| 売上総利益率 | 55-57% | n/a | +100~+300bp | 営業利益率約42%を含意(コンセンサスは約37%) |
| インストールドベース管理 | ~€2.9B | n/a | 前期比+5% | アップグレード需要が持続 |
| 研究開発費 | ~€1.2B | n/a | 前期比減 | 第2四半期の変革関連費用が再発しないことを含意 |
| 販売管理費 | ~€0.4B | n/a | 前期比増 | 5四半期ぶりの増加 |
| 通期ガイダンスのシナリオ | 通期合計 | 上期実績 | 下期含意値 | 第3四半期ガイダンス | 第4四半期含意値 | 第4四半期 vs 2026年第2四半期 | 第4四半期 vs 過去最高の2025年第4四半期 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 下限 | €43.0B | €18.09B | €24.91B | €11.0B | €13.91B | +49.1% | +43.1% |
| 中央値 | €44.0B | €18.09B | €25.91B | €11.5B | €14.41B | +54.5% | +48.2% |
| 上限 | €45.0B | €18.09B | €26.91B | €12.0B | €14.91B | +59.8% | +53.4% |
含意される前期比ランプ:中央値では、第3四半期は前期比23.3%、第4四半期はさらに25.3%成長しなければならない。前期比約25%の成長が2四半期連続で起きることは、ASMLの近年の歴史に前例がない。同社は€9.72Bを超える四半期を一度も計上したことがないのである。
市場の織り込み:決算発表前のコンセンサスはFY2026で€39.4B、第3四半期で約€10.1-10.4Bだったため、ガイダンスは双方で市場を約12%上回っている。あるセルサイド1社は第4四半期を約€11.6Bとモデル化していたが、いま含意されるのは€14.4Bであり、その差は約24%だ。
ガイダンスの流儀:ASMLは今回の回復局面を通じて保守的にガイドし、一貫して上回ってきた。これがランプが本物だとする最も強い論拠である。第2四半期は自社ガイダンスの上限を超え、第1四半期はレンジの上限に着地した。しかし、€9Bのガイダンスを€326M上回るのと、物理的な生産レートを1.5倍に引き上げなければ届かない€14.4Bの四半期を実現するのとは、まったく別の作業だ。過去の保守性は意図についての証拠であって、製造スループットについての証拠ではない。
主要トピックと経営陣コメント
経営陣の総合的なトーン:経営陣は、当社がカバーしてきた8四半期の中で最も自信に満ちていた。そして注目すべきは、その自信が特定の方向に向いていたことだ。需要ではなく供給についてである。過去の説明会が需要フレームワークを擁護していたのに対し、今回は需要を決着済みとして扱い、既存設備からどれだけの生産量を絞り出せるかにエネルギーを注いだ。経営陣が一貫して説得力を欠いた唯一の領域は価格だった。異例の交渉力があることを3度認め、そのいずれが売上高に現れるのかを3度とも語らなかった。サイクルリスクについて質問した者は誰もおらず、経営陣も自発的には何も述べなかった。
1. ガイダンス引き上げ:€36-40Bから€43-45Bへ一段で
90日前、ASMLはFY2026を€36-40Bへ引き上げ・絞り込み、当社はそれを教科書的なフレームワークのアップグレードと評した。本日、同社はレンジを€43-45Bへ動かした。中央値は一四半期で€6B、率にして15.8%跳ね上がり、新レンジの下限は旧レンジの上限を€3B上回る。FY2025比の成長率は旧中央値の+16%から新中央値の+34.6%へ。売上総利益率ガイダンスは上下限が同時に300bp切り上がった。こちらのほうが引き上げとしては稀な半分である。売上高の引き上げはよくあるが、300bpの利益率引き上げが並走するということは、増分の数量が全社平均を上回る採算で到来していることを意味する。
「以上に述べた事業動向を踏まえ、当社は2026年の総純売上高を€43B〜€45B、売上総利益率を54%から56%と予想します。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
示された仕組みは、顧客が年度途中で設備投資計画を上方修正したことと、ASMLが物理的にそれに応えられたことの組み合わせである。両方が必要だ。需要の上方修正だけなら、生まれるのは受注残であって売上高ではない。
「顧客需要の継続的な強い勢いと、サプライチェーン、製造、そして現場のインストールチームの強みを通じて生産量を高める当社の対応力、この組み合わせがガイダンス改善の主たる要因です。今年の強い最終市場需要が、顧客に先端ノードでの積極的な能力増設を促しました。複数の顧客が今年の設備投資計画を上方修正しており、当社の増産能力によって、追加のリソグラフィシステムを求める顧客の要請に応えることができました。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
評価。これはASMLの近代史上最大の単一四半期でのガイダンス引き上げであり、当社が2025年第3四半期以来維持してきたアウトパフォームを、予想以上に完全な形で正当化した。だが同時に、投資命題の中身をも変えてしまった。当社のレーティングは、需要フレームワークが四半期ごとに回復していくという命題に支えられてきた。その命題はいまや当社に有利な形で完全に決着し、これ以上進む余地がない。ここから先、この株は製造の実行力とサイクルの持続期間への賭けとなる。これらは別の問いであり、別の証拠を要する。
2. 2030年フレームワークは陳腐化し、その改定は11か月先である
最も長い半減期を持つ開示でありながら、説明会ではほとんど注目されなかった。ASMLの既存の長期フレームワークは、直近では当社の第1四半期レビュー時点でも再表明されており、2030年の売上高を€44-60Bと置いていた。FY2026ガイダンスの中央値は€44.0Bである。同社は自社の2030年売上高フレームワークの下限に、4年前倒しの2026年に到達する。そして上限も、もはや10年がかりのストレッチケースというより、2028年にありうる帰結のように見える。このフレームワークはもはや単に保守的なのではない。情報ですらない。しかも経営陣は、その改定を2027年6月10日のキャピタルマーケッツデイへ先送りした。
「2027年6月10日に開催する次回キャピタルマーケッツデイにおいて、前回キャピタルマーケッツデイ以降の市場および技術動向を反映すべく、長期的な見通しを更新します。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
当社の第1四半期レビューは「2026年後半のキャピタルマーケッツデイ」を次の主要なフレームワーク触媒として挙げ、2030年見通しの上方修正の可能性を強気シナリオの主要ドライバーとして指摘していた。その日程はいま、およそ2四半期後ろにずれた。今年中の長期見通し改定を前提にポジションを取っていた投資家は、来夏まで待つことになる。
評価。両面あるが、差し引きではプラスとみる。ネガティブは実在する。この銘柄で最もクリーンなバリュエーション再評価の触媒が11か月先へ動き、それまでの唯一の公開された長期アンカーは、同社が今年中に超えてしまうフレームワークである。だがポジティブのほうが大きい。2026年に下限に達してしまう2030年フレームワークは、株価を縛る天井ではない。2027年6月の改定が上方でなければならないこと、しかもおそらく大幅にそうなることの数学的な保証である。それまでの間、この株は長期ストーリーではなく四半期ごとの実行によって支えられなければならない。下期のランプがこれほど重い理由はまさにそこにある。
3. 生産能力:2027年は+30%でほぼ完売、2028年はさらに+30%を検討中
2027年の業績予想を動かす先行開示。ASMLは2026年のLow-NA EUV能力である約65台に30%を積み増し、2027年を約85台へ引き上げる。さらに2028年に向けて追加の30%を検討中であり、説明会のアナリストはこれを約110台と置き、経営陣も訂正しなかった。液浸DUVラインも同じパターンだ。2026年に約130台、2027年に+30%、2028年にさらに30%を検討中。決定的な留保条件は、2027年はすでに受注でほぼ埋まっており、2028年も2年先にしてすでに相当の受注残を抱えているという点である。
「2027年については、Low-NA EUVの受注でほぼ完全にカバーされる状況にあり、Low-NA EUVの生産能力を約30%引き上げる計画です。2028年に目を向けると、すでに相当数のLow-NA EUV受注を受領しています。顧客からの強い需要予測を受けて、当該年についてさらに30%の能力増強を検討するに至りました。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
これを通常の能力増強発表より実質的に優れたものにしている点が二つある。第一に、2027年については投機ではなく需要に裏打ちされていること。第二に、これはあまり評価されていないが、その全部が既存設備の中に収まることだ。新キャンパスは今年着工するが、明確に2028年以降の資産であり、これらの数字には一切寄与しない。梃子となるのは、現在プロトタイプやR&D装置が占有しているキャビンの解放、サイクルタイムの短縮、そしてサプライチェーンの回転率向上である。
「計画中であれ検討中であれ、話している能力増強はすべて既存設備を前提としています。お気づきかもしれませんが、この6か月から9か月、当社は生産量を増やすために極めて懸命に取り組んできました…当社が挙げている数字は、基本的に既存のクリーンルーム空間を正しく最適化することで達成できるものです。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
評価。この「既存設備の範囲内」という論点は、過剰増強論に対する最強の単一反論であり、市場が与えた以上の重みに値する。新しいクリーンルームを必要としない能力は、追加が安く、追加が速く、そして何より止めるのが安い。ASMLは予測できないサイクルに対して10年分の資本を投じているのではない。すでに所有する資産の稼働率を上げているだけだ。もし2028年にメモリが崩れても、間違えたことの増分コストは小さく、その大半は可逆である。これは不確実なサイクルに向けた能力拡張として理想形に近く、当社が相場より過剰増強リスクに落ち着いていられる理由でもある。
4. 箱かウエハか:装置は30%増、能力は45%増
説明会で最も有用な算術であり、見落とすと業績予想の混乱を招く一節。2027年に向けた30%の能力増強は、生産量ではなく装置の台数を数えている。2027年の出荷ミックスがEとFであるのに対し2026年はBとEの混成であるため、ASMLが提供するウエハ能力は30%ではなく約45%増える。その上にアップグレード事業を重ねれば、ASMLが来年業界に追加する実効能力はさらに高くなる。
「私たちが見ているのは30%、いわば『箱』の話で、30%多い装置ということです。来年出荷する装置のミックスが、今年出荷したミックスとは異なることも認識しておくべきです…生産量の違いを認識すれば、実際に見ているのは追加するウエハ能力の30%の改善ではなく、およそ45%だということになります。加えて、ご存じのとおり、当社は既存設備の顧客に対して数々のアップグレードパッケージを提供しており、これが顧客にさらに大きな上乗せをもたらします。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価。これは正反対の二方向に効き、両方を同時に抱えておく価値がある。ASMLの売上高にとっては、生産性の高い装置はASPも高いため、30%多い台数は30%超のシステム売上高に転換する。これは素直なプラスであり、当社のFY2027予想にも織り込み済みだ。一方、業界にとっては、ASMLは現在ひっ迫しているメモリ市場に約45%多いウエハ能力を追加することになる。ASMLの台数からDRAM供給をモデル化している者は、到来する能力を半分過小評価している。2027年のASMLを良く見せる装置は、メモリサイクルを短くする装置と同じものなのだ。
5. Dモデルの払底と2027年の利益率設定
供給制約が利益率の追い風に転じる話。ASMLは今年、DモデルEUVを事実上売り切っている。制約要因はASMLがコントロールできる何かではなく、ZEISS製の特定の光学部品だ。1~2台が来年にずれ込む可能性はあるものの、2027年以降のEUVミックスはEとFのみとなり、Eに偏る。これらの装置はより高いASPと、より良い売上総利益率プロファイルを併せ持つ。
「ある時点で、Dモデルについては単純に売り切れるわけです。DはZEISSの特定のQBを使っており、ある時点でもう終わりです…その瞬間から、Dの受注残はもう存在しないため、来年はEとFを作ることになります。当然、そのミックスは今年のミックスよりも良いASPを伴います。先ほど述べたとおり、より高い生産性も伴うからです。そして、より良い売上総利益率プロファイルも伴います。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価。2027年の売上総利益率の設定は、会社が口に出すよりも良い。経営陣はガイドを拒んだものの、EUVのミックス効果が今年より来年のほうがポジティブであり、改善後の2026年下期の出口水準よりもポジティブであることを認めた。それを、すでに動いている下期の4ドライバー(ミックス、価格改善したEUV、高採算のインストールドベース、固定費に対する数量レバレッジ)に重ねれば、2027年の売上総利益率がFY2026レンジの54-56%を上回ることは、願望というより算術に近い。当社は56-58%とモデル化する。
6. 価格交渉力:3度認め、時期は0度
説明会で最も興味深い回避。3人のアナリストが3つの異なる角度からASMLの価格に切り込み、そのたびにCFOは現在の環境がASMLに異例の交渉力を与えていることを認め、それがいつ売上高に転換するのかを語ることを拒んだ。長い受注リードタイムが理由として挙げられ、これは正当な理由である。2027年に出荷される装置は、受注時に価格が決まっていた。
「現在の環境が、かつてとは異なる価格の柔軟性をもたらしているという点には同意します。もちろん、当社の長い受注リードタイムを踏まえれば、それが明日にも価格効果として現れるわけではないこともご理解いただけるでしょう。明らかに、当社製品が顧客にもたらす価値を伴う今日の環境は、実質的なものです。当然、過去に見られたよりも大きな価格の柔軟性を当社に与えています。当然、当社はそれについても実行に移しています。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
「それについても実行に移しています」という一節は多くを含意しているが、掘り下げられなかった。別途、ASMLはDUVで約10%の値上げについて交渉を開始したと報じられており、一部の中国系チップメーカーはすでに受け入れたという。EUVの値上げについても最大顧客に直接持ちかけているが、同社は抵抗している。
評価。これはASMLのストーリーの中で、当社を含め誰の数字にも入っていない最大の項目である。2年分の受注残を持ち、能力に飢えた顧客を抱え、明示的な価値ベースの価格哲学を掲げる独占企業が、まだ使っていない価格交渉力について語っているのだ。当社はミックス以外の価格上昇を意図的にモデル化しておらず、その分、当社のFY2027予想は構造的に保守的である。ASMLが同一条件比較で数ポイントの価格を取れれば、その利益効果はほぼ丸ごと増分となる。予想ではなく、フリーオプションとして扱うべきだ。
7. High-NA:インテルが量産に到達、それでもなお4~5台
ASMLは本日朝、2本目のプレスリリースを出し、Intel FoundryがHigh-NA EUVを用いてIntel 18Aで量産(HVM)に入り、Core Ultra Series 3プロセッサの一部を生産していると発表した。これは業界で初めてHigh-NAで製造された量産ロジック製品であり、High-NAが高額な値札を伴うR&Dストーリーであり続けた2年を経ての、真のマイルストーンである。
「本日先ほどのプレスリリースにて、Intel FoundryがIntel 18AプロセスノードでASMLのHigh-NA EUV技術を用い、Intel Core Ultra Series 3プロセッサの一部を生産していることを発表できたことを大変喜ばしく思います。これらのマイルストーンは、量産環境におけるHigh-NA EUVの成熟度を示す重要な一歩となります。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
3つの留保が重要であり、そのいずれも説明会では提起されなかった。当該レイヤーは0.33 NAと0.55 NAの両スキャナ向けに、既存プラットフォームと同等の歩留まりでデュアル認定されている。つまりこれはインテルが受け入れた依存ではなく、取得したオプションである。2026年のHigh-NA売上計上は4~5台で不変であり、Low-NAの約65台に対する数字だ。そしてASMLの最大顧客は、現行世代EUVのおよそ2倍の価格であるHigh-NAシステムを高すぎると公言し、採用を約2029年へ先送りしている。
評価。方向性としては重要、財務的には少なくともあと2年は非重要。このマイルストーンは必要な役割を果たしている。すなわち量産環境でプラットフォームが機能することの証明だ。そしてインテル自身の位置づけも、既存設備の置き換えではなく、既存設備と並行して開発したオプションだと説明している。これは懐疑派のコスト論理への反駁というより、むしろそちらに近い。当社はHigh-NAを2028年以降について投資命題に関わるものとして扱い、それまでの数字においては端数として扱う。経営陣が是認しなかった、より興味深い可能性は、ロジックより先にDRAMがHigh-NAを採用することである。
8. オペレーティングレバレッジが第二のエンジンになった
今四半期の売上高は前年同期比21.3%増、一方で販売管理費は1.3%増、従業員数は1.7%増だった。通期ガイダンスでは、売上高が約35%成長するのに対し上期の営業費用の伸びは約5.5%である。この差こそが、いまや利益率ストーリーの源泉であり、経営陣もそれが意図的であることを認めた。戦略は研究開発の人員を増やすことから、すでにいるチームからより多くを引き出すことへ移行したのだ。
「過去のやり方と対比すると、以前は研究開発の人員をかなり大幅に増やしていました。今日、当社は現在のチームで、非常に野心的なロードマップを十分に遂行できると考えています。総じて、研究開発費と販売管理費の双方を引き続きうまく管理していく姿をご覧いただけると思います。その結果として、ご指摘のオペレーティングレバレッジは、今後の四半期および数年にわたって、確かに改善していくと考えています。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
実現した増分営業利益率は、今四半期が前年同期比48.4%、上期が45.6%だった。通期ガイダンスベースでは約58%へ上がる。だからこそ、説明会で経営陣に投げられた「60%」という枠組みは、過去の話ではなく先行きの話なのである。
評価。確認済みであり、過小評価されている。営業費用6%増で売上高35%増を積む事業は、需要サイクルを恒久的な利益率構造へ変換している。そして、野心的なロードマップを走らせながら研究開発の人員を横ばいに保つという約束こそ、それを成立させる具体的な選択だ。誰も提起しなかったリスクは、High-NAの成熟、Hyper-NAの開発、1,000ワット光源を要する期間を通じて研究開発の人員を横ばいに保つことが、数年間は検証不能な賭けだという点である。
9. 誰も質問しなかった変革関連費用
研究開発費は約€1.2Bのガイダンスに対して€1,276.6Mとなり、示された説明はCFOの準備原稿の一節だけだった。金額は示されず、内訳も示されず、アナリスト10人の質問を通じて一度も問われなかった。
「営業費用がガイダンスを上回ったのは、第2四半期に技術・IT変革に関連する見積費用を、主として研究開発費において認識したためです。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
ガイダンスとの差は約€77Mである。第3四半期の研究開発費ガイダンスが約€1.2Bであることは、この費用が再発しないこと、ひいてはそれが継続的なプログラム費用ではなく個別の見積であったことを含意する。これは過去の四半期に開示された構造改革の続きとみられ、CFOも後段で「以前お話しした組織再編」として言及した。
評価。規模としては非重要、開示としては軽度に不満。営業利益€3.46Bに対する約€77Mは、いかなる投資判断も変えない。しかし、会社が投資家に対して25%の前期比ランプを2度連続で引き受けてくれと求めている説明会で、金額不明の費用がガイド済みの項目をレンジ外へ押し出したのだ。これはまさに1つは質問が出て然るべき類のものであり、1つも出なかった。財務上の論点というより、開示品質の観察として指摘しておく。
10. 運転資本:上期のフリーキャッシュフローがマイナスに転じた
今四半期で最も議論されなかった数字。第2四半期のフリーキャッシュフローは€1,317Mで、当期純利益の58%が転換した。これが良いほうの半分だ。全体像はこうである。2026年上期のフリーキャッシュフローは、上期純利益€5,674Mに対してマイナス€1,291Mだった。上期営業キャッシュフローは、2025年上期のプラス€689.1Mに対してマイナス€482.5Mである。売上債権は期末の€3,023.0Mから€7,252.6Mへ増加し、金融債権を含む債権は2四半期で約€4.16B積み上がった。推計DSOは2025年第4四半期の29.2日から第1四半期の45.2日、そして今回の四半期の70.8日へ延びた(前年同期は59.1日)。現金及び現金同等物は上期を通じて€12,916.0Mから€6,671.9Mへ減少した。
良性の説明があり、当社もおおむね正しいと考える。2025年第4四半期は顧客前受金の急増により€10,940Mという異例のフリーキャッシュフローを計上しており、2026年上期はその巻き戻しに見える。流動負債はすでに第1四半期の€20,288Mから第2四半期の€22,155Mへ再構築されつつある。台数が79台から91台へ跳ねた四半期の出荷リニアリティも、機械的に売上債権を押し上げるだろう。棚卸資産は横ばいで、これは安心材料である。売れ残り在庫の積み上がりではないということだ。
評価。警報ではなくウォッチ項目、ただし本物のそれである。売上高の質が劣化したことを示すものはここに何もなく、ASMLの回収における季節性パターンは十分に確立されている。当社が懸念するのは下期ランプとの相互作用だ。第3・第4四半期が€25.9Bの売上高を届けるなら、運転資本は現金を解放する前にまず吸収する。年度末には、利益のストーリーが含意するよりはるかに弱いキャッシュのストーリーになりうる。この点を質問したアナリストは1人もおらず、これに触れたセルサイドのコメントも一切見つけられない。当社は第3四半期の売上高よりも、第3四半期の売上債権をより注意深く見ていく。
11. 経営陣がサイクルについて語らなかったこと
通期売上高ガイダンスを16%引き上げ、メモリのシステム純売上高が今年75%超成長すると開示し、30%の能力拡張を2度連続で発表した60分間の説明会において、「サイクル」「後退」「調整」という語は一度も現れなかった。経営陣はDRAM価格が正常化した場合に何が起きるかの枠組みを一切示さず、アナリストの誰一人としてそれを求めなかった。
評価。誰も問わなかった以上、これを回避とは読まない。しかし、この不在こそが今回の説明会について最も重要なことである。ASMLは、過去10年で最も深刻なひっ迫にあるメモリ市場の強さを頼りに、2028年までの能力計画を引き受けるよう求められている。そして議論の全体が、回線の両側から、そのひっ迫を前提として扱った。経営陣がほとんど通りすがりに述べた唯一の構造的防御は、拡張が既存設備の中に収まっており、それゆえ元に戻すのが安いということだ。その防御は、それを取り巻く沈黙が示唆するよりも強く、経営陣が明示的に述べたどの発言よりも、当社のレーティングにおいて大きな働きをしている。
アナリストQ&Aハイライト
価値ベースの価格設定、そして「いつ」という問い
冒頭のやり取りであり、説明会で最も示唆に富んだもの。質問は競合に隣接した観察から組み立てられた。業界最大の顧客がHigh-NAを高すぎると公言しているのなら、Low-NAとマルチパターニングの組み合わせが想定以上の価値を提供していると市場が語っているのではないか、そしてLow-NAの価格はそれを反映すべきではないか、という問いである。CFOの回答は、より広い論点を即座に、かつ気前よく認めた。現在の環境がASMLが歴史的に享受してきた以上の価格の柔軟性を与えている、と。そのうえで時期を語ることは拒んだ。フォローアップはタイミングを直接突いたが、言い換え以上のものは得られなかった。
Q:「それはいつ起こりうるのですか、ロジャー。おっしゃるとおり明日ではない。では明後日ですか。いつなのですか。」
— François Bouvignies、UBS
A:「それは顧客との受注状況に本当に依存します。申し上げたとおり、明らかに受注リードタイムと連動しています。当然、それは相手によって異なります。ダイナミクスは明確に存在しています、フランソワ。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価:かわされた。ただし情報量のあるかわし方だ。「ダイナミクスは明確に存在している」とは、定量化しないことを選んだ交渉力を会社が認めているということであり、挙げられた理由(長い受注リードタイム)も逃げではなく本物である。このやり取りが明らかにするのは、価格が2027-2028年の利益イベントであり、ガイダンスにもコンセンサスにも入っていないということだ。正直な読み筋は、経営陣は交渉中であって公開の場で交渉したくない、というものである。それは正しい姿勢であり、同時に、報告されるASPに現れるまで投資家には何も見えないということでもある。
2027年の85台は上限か、それとも仮置きか
2027年の業績予想にとって最も重要な質問。2027年がすでにほぼ受注で埋まっており、能力計画がLow-NA EUV約85台に設定されているのなら、それは会社とサプライチェーンが支えられる最大値なのか、それとも単に現時点の需給バランスがそこにあるだけなのか。答えは明確に後者であり、制約ではなくスナップショットとして提示された。
Q:「来年について含意される85台前後という数字は、御社とサプライチェーンが来年支えられると考える上限なのでしょうか。既存設備ならもっと支えられそうにも聞こえます。2027年が近づくにつれて、この数字が上振れる可能性はありますか。」
— Joe Quatrochi、ウェルズ・ファーゴ
A:「ジョー、これは今日時点で見たバランスです。今日時点で見た需要と供給のバランスが30%という数字に導いている、ということです。それが当社のやり方です。もし顧客がASMLのところに来て『ASML、もっとかなり必要だ』と言うなら、この数か月やってきたのと同じように、自分たちの目を見つめ直し、サプライチェーン全体を見渡して、さらに何ができるかを検討する必要があります。現段階では、交わしている会話を踏まえると、85は顧客が当社に求めているものと、現段階で当社がサプライチェーンに求めてきたものとのバランスを、うまく表した数字だと考えています。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価:85は計画の装いをまとった下限であり、答えはそれが紛れもなく伝わるように組み立てられていた。経営陣はこの6~9か月、需要に応じて繰り返し生産量を引き上げてきたし、そのプロセスを、求められれば単に繰り返すものとして説明した。モデル化の目的では、85をベースケースとし、分布は上方に歪んでいるとみるべきだ。ただし留保として、拘束的な制約はいまや顧客の意欲ではなくASML自身の製造である。それは、18か月前にこの会社が抱えていた問題よりはるかに良い問題だ。
発注(PO)に先行して能力をコミットすること
手順の順序についての鋭い質問であり、その答えには能力計画における最大のリスクが含まれている。2028年に110台のシナリオを検討するということは、受注がすでに存在するか、ASMLがそれに先んじて支出しているかのどちらかを意味する。経営陣は、それが後者であることを清々しいほど率直に認めた。
Q:「能力を増やすにあたって、御社は顧客からの発注(PO)を待ってから増強を始めるのですか。」
— Krish Sankar、TDカウエン
A:「明らかに、クリシュ、当社は受注を待ってはいません。2028年までのLow-NA EUVについて110台のシナリオを検討中だと申し上げました。当然、現段階で110台のLow-NA EUVの受注があるわけではありません。待ってはいないのです。先回りしています。ただしそうしている理由は、顧客から得ている需要シグナルが、まだ完全な発注には転換していないものの、かなり強いからです。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価:説明会で最も正直な答えであり、弱気シナリオを定義する答えでもある。「まだ完全な発注に転換していない」需要シグナルに対して「先回りしている」というのは、資本設備企業がサイクルの天井で捕まる過程の教科書的な描写だ。緩和材料は、経営陣がここではなく別の箇所で述べたことだが、既存設備の中で先回りするコストは非常に小さく、容易に巻き戻せるという点である。2027年(受注済み、低リスク)と2028年(シグナル駆動、実リスク)の区別は、この物語において投資家が引ける最も有用な線であり、経営陣はそれをぼかさず明確に引いた。その点は評価に値する。
Dモデルの払底と、それが2027年の利益率に含意するもの
供給制約を用いて、経営陣が自発的には出さなかった利益率シグナルを引き出した、よく構成された質問。2027年のミックスからDモデルが消え、EとFの装置がより高い生産性とより高いASPを持つのなら、2027年の売上総利益率は機械的に改善するはずだ。経営陣は仕組みを認めつつ、結果へのガイドは形式的に拒んだ。
Q:「ロジャー、来年はミックスにDが入らないとおっしゃいました。確認したいのですが、それは事実ですか。もしそうなら、ミックスがEおよびいずれはFの数量へシフトしていくのだから、来年の売上総利益率は今年より上がると想定してよいでしょうか。」
— Krish Sankar、TDカウエン
A:「クリシュ、ある時点で、Dモデルについては単純に売り切れるわけです…当然、そのミックスは今年のミックスよりも良いASPを伴います。先ほど述べたとおり、より高い生産性も伴うからです。そして、より良い売上総利益率プロファイルも伴います。当然、来年の売上総利益率をガイドするつもりはありませんが、クリシュ、来年のEUVにおけるミックス効果が今年よりもポジティブになるというのは事実です。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価:ガイドではないガイド。今年の出口ランレートがすでに56%である中で、EUVのミックス効果が今年より来年のほうがポジティブになると認めることは、正式な数字なしに2027年の売上総利益率レンジをかなり絞り込む。数量レバレッジと、なお成長するインストールドベースを組み合わせれば、2027年がFY2026の54-56%のバンドを上回ることは算術に近い。このやり取りは、2027年の業績予想に対して、説明会の他のどのやり取りよりも大きく貢献した。
通期ガイダンスの整合:ASPと下期の利益率ブリッジ
ガイダンスの水準ではなく、その形に真剣に踏み込んだ唯一のやり取り。質問者は台数とインストールドベースのガイダンスをモデルに組み込んだが、他の何かが動かない限り通期の数字が成立せず、それが何なのかを尋ねた。答えは説明会で最も詳細なもので、4つの異なるドライバーを名指しし、加えて中央値ベースで下期の売上総利益率約56%への道筋を示した。
Q:「液浸とEUVの台数ガイダンス、それにIBMのガイダンスを見ていると、中央値に届かせることすら少し苦労します。すみません、上限を超えないようにするのに苦労している、の間違いです。失礼しました。私が理解したいのは、ホリスティック・リソグラフィのソフトウェアのアタッチレートによって第3・第4四半期のASPが上がっているのか、あるいは特に意味のあるミックス影響があるのか、という点です。」
— Didier Scemama、バンク・オブ・アメリカ
A:「売上総利益率について言えば、分析を行い、中央値対中央値で取るなら、下期はおよそ56%の売上総利益率を見ていることになると思います…なぜか。まず、ミックスです。液浸とLow-NA EUVがかなり多く含まれるからです。第二に、下期はより良い価格のEUVが含まれるからです。第三に、インストールドベース事業が引き続き非常に堅調だからです。第四に、当然ながら数量効果があり、下期は上期よりはるかに多い数量があるため、固定費カバーがプラスに働くからです。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価:この質問が実際に何を言っているかに注目すべきだ。これは記録の中で最も強気なデータポイントであり、しかも懐疑派のスプレッドシートから出てきたものだからである。不満は、ガイダンスが高すぎるように見える、ではなかった。開示された台数とインストールドベースのガイダンスを踏まえると、レンジの上限を下回るほうが難しい、というものだった。構成要素がガイダンスを上回ることを含意するなら、そのガイダンスは保守的である。利益率のブリッジは十分に答えられ、4ドライバーはいずれも構造的だ。質問のASP部分は、例によって放置された。
メモリ:顧客は供給ギャップを埋めているのか、HBMを追っているのか
メモリサイクルについての正しい問いであり、最も満足のいかない答えが返ってきた問い。質問者はHBM駆動のリソグラフィ集約度と、単純な数量追加との内訳を求めた。二つは持続期間がまったく異なるからだ。集約度は構造的、数量は循環的である。経営陣は内訳の提供を拒んだ。ASMLにとって関係がない、という理由で。
Q:「2026年のメモリ75%成長について、HBM駆動のリソグラフィ集約度と数量追加のそれぞれの寄与を共有していただけますか。つまり私が知りたいのは、こうした投資によって、御社の顧客であるメモリメーカーが供給と需要のギャップを埋めつつあるのか、それともHBMのような新技術に投資しているだけなのか、ということでもあります。」
— Stéphane Houri、ODDO BHF
A:「そうですね、需要はHBMとDDRの双方における大幅な数量増の組み合わせだと考えています…両者の正確な比率を知るのは難しい。当社にとって技術面ではそれほど重要ではありません。DRAMそのもの、RA自体は同じだからです。HBMはより多くのウエハを必要とするので、そこでも数量効果があります…まさにこの組み合わせが、今年、そしておそらく今後数年にわたって、DRAMにおけるASMLにとってある種のパーフェクトストームを作り出しているのです。」
— Christophe Fouquet、最高経営責任者(CEO)
評価:「当社にとって技術面ではそれほど重要ではありません」は真実であり、かつ論点をずらしている。それはASMLの装置設計にとっては重要でない。だが75%という成長率の持続性にとっては決定的に重要だ。質問者は顧客が供給ギャップを埋めつつあるのかを尋ねた。それこそが2028年の需要が存在するかどうかを決める問いであり、答えは返ってこなかった。当社はリソグラフィ集約度の成分を持続的、数量の成分を循環的とみているが、両者の規模を示すことの拒否は、投資家がその分解を自ら行うことを不可能にしている。今四半期で最も重要な、答えられなかった問いである。
オペレーティングレバレッジと「増分60%」の問い
観測された利益率拡大を先行きの目標へ変換しようとする試み。枠組みは的確だった。約35%の売上高成長に対して営業費用の伸びが約6%なら、増分営業利益率は60%前後を含意する。それがいまや目標なのか、という問いである。経営陣は数字を受け入れなかったが、方向性については異例なほど強く是認した。
Q:「トップラインが35%成長する一方で営業費用が暗黙裡に約6%しか伸びていないことが、数字にはっきり出ています。2027年以降を考えるにあたって、この60%という増分営業利益率が御社の目指す目標だと考えるべきでしょうか。」
— CJ Muse、カンター・フィッツジェラルド
A:「そうですね、CJ、それを定量的にガイドするつもりはありません。当社が営業費用、すなわち販売管理費と研究開発費をかなりうまく管理してきたというのはご指摘のとおりです…今日、当社は現在のチームで、非常に野心的なロードマップを十分に遂行できると考えています。総じて、研究開発費と販売管理費の双方を引き続きうまく管理していく姿をご覧いただけると思います。その結果として、ご指摘のオペレーティングレバレッジは、今後の四半期および数年にわたって、確かに改善していくと考えています。」
— Roger Dassen、最高財務責任者(CFO)
評価:「オペレーティングレバレッジは、今後の四半期および数年にわたって、確かに改善していく」というのは、この経営陣が出す先行きの利益率コミットメントとしてはほぼ限界に近い。質問者の算術は当社でも検証し、成立している。通期ガイダンスは約58%の増分営業利益率を含意するため、60%という枠組みはストレッチというより、モデルが向かっている先の妥当な描写である。それが機能する理由は、ロードマップを走らせながら研究開発の人員をほぼ横ばいに保つという意図的な選択にあり、それが循環的な売上高の急増を構造的な利益率へ変換している。
語られなかったこと
- 受注と受注残の数字が、そもそも一切ない。ASMLは2026年第1四半期をもって四半期受注の開示を取りやめた。「極めて堅調」な受注動向が、定量的な内容のすべてである。最後に公表された数字は2025年第4四半期の純受注€13.2Bと、期末受注残約€38.8Bだ。前例のない先行き可視性が中心的な主張である四半期において、それを裏づけるはずの指標はもはや公表されていない。
- 2027年の受注カバー率。直接問われたにもかかわらず。2027年について「ほぼ完全にカバーされている」、2028年について「相当数の受注」というのが、提示された唯一の目盛りだ。CFOは明示的に拒んだ。「受注動向は共有していません。カバー率の数字を差し上げるつもりはありません。」その拒否こそが、検証可能な主張と単なる断言との差である。
- サイクルリスクについての枠組み、そのすべて。75%成長するメモリ市場に向けて30%の能力拡張が2度連続で発表されたにもかかわらず、経営陣も10人のアナリストの誰も「サイクル」という語を使わなかった。下方シナリオは提示も要求も示唆もされなかった。
- 技術・IT変革関連費用の規模。研究開発費をガイダンスより約€77M押し上げたにもかかわらず、開示は従属節ひとつ。定量化されず、内訳もなく、質問もされなかった。
- メモリ75%成長のうち、HBMとDDRの内訳。ASMLにとって技術的に無関係であるという理由で拒否されたが、それは、その成長のどれだけがDRAM価格の正常化を生き延びるかを判断する唯一の方法であるという点をかわしている。
- 価格交渉力がいつ売上高に転換するのか。3度認め、時期は0度。「ダイナミクスは明確に存在している」が、提示された最も具体的な表現である。
- 2027年の売上高または売上総利益率のガイダンス。繰り返しかわされ、「来年の事業について何らガイドするつもりはありません」という素っ気ない一言も含まれた。この時期としては妥当だが、それは約85台の能力計画が投資家にとって2027年の唯一のアンカーであることを意味する。
- 2027年・2028年のHigh-NA能力。直接問われたにもかかわらず。Low-NAと液浸の能力計画は詳細に示されたが、High-NAについての同等の質問は、最適化の原則についての議論を引き出しただけで、数字は出なかった。
- 上期のマイナスのフリーキャッシュフローと売上債権の積み上がり。経営陣からの言及はゼロ、10人のアナリストからの質問もゼロ、当社が見つけられるセルサイドのコメントもゼロ。上期純利益€5,674Mに対する上期フリーキャッシュフロー€1,291Mのマイナスが、何の指摘もなく通り過ぎた。
- 輸出規制、およびガイダンスに含まれる輸出規制の織り込み。前四半期、経営陣は通期レンジが潜在的な帰結を吸収しうると自発的に述べた。今四半期はその緩衝を再言明することなくガイダンスが€6B引き上げられ、話題自体が出なかった。
- 含意される第4四半期についての説明、そのすべて。通期ガイダンスは史上最高を約48%上回る四半期を要求する。経営陣はそこへのブリッジを一度も示さず、その算術に近づいたアナリストも1人だけで、しかもそれは強気すぎるという方向ではなく、保守的すぎるという方向からだった。
- 3D集積とXT:260プラットフォーム。当社の第1四半期レビューで注目点として挙げたが、2四半期連続で不在である。
株価反応
- 決算前の地合い(7月14日終値):ADR $1,775.64、アムステルダム €1,555.80。決算を迎える時点でADRは年初来+66.0%($1,069.86から)、12か月で+115.7%($823.02から)であり、年初来10.2%高のS&P 500に対して大きく上回っていた。しかし同時に、直近30日では6.2%安(6月15日の$1,892.66から)であり、52週終値高値$1,989.44を8.8%下回っていた。52週の終値レンジは$689.63から$1,989.44である。
- オプション織り込み変動率:上下いずれかに8.36%。直近4四半期の実現変動率の平均約4%の2倍超だ。ある外れ値のソースは、期待変動率を歴史的平均7.00%に対して6.22%としていたが、8.36%という数字には独立した2つの典拠がある。
- アムステルダム(主要上場市場):日中高値€1,678.20、+7.87%まで急騰し、織り込み変動率にほぼ到達した後、その高値から7.67%を吐き出して€1,549.40、0.41%安で引けた。日中レンジは€1,536.20から€1,678.20。
- 米国ADR:$1,825.06で寄り付き(+2.8%のギャップアップ)、安値$1,735.65(-2.25%、正真正銘のマイナス圏)まで売られ、高値$1,830.00(+3.06%)、終値$1,815.27、+2.23%(+$39.63)。出来高は4.2Mで、30日平均2.1Mの2.0倍。
- セクター:ASMLが上昇する一方で半導体製造装置セクターは下落した。AMAT -2.73%、LRCX -3.08%、KLAC -2.55%、Besi -3.02%、ASMインターナショナル -0.45%、TSMC -0.22%、SOXX -2.23%。S&P 500は+0.4%だった。
- セルサイド:今回の決算に対する目標株価の引き上げもレーティング変更も、いずれの方向にもなし。検証可能なレポートは2本、いずれも目標株価据え置きの維持である。
ADRの+2.2%はタイミングの産物であり、市場の評決と読むべきではない。アムステルダムは米国東部時間11時30分に引ける。熱狂的な急騰は中央欧州時間7時のリリース直後、欧州の午前中に起きた。米国市場が開く数時間前であり、だからこそADRはその水準の近くを一度も取引していない。ADRは欧州のフェードがほぼ完了した後に寄り付き、マイナス圏へ沈み、欧州勢が帰った後の米国の午後を通じて安値から約4.6%戻した。2.64ポイントの乖離を通貨では説明できない。EUR/USDはこの日+0.10%であり、両上場は7月14日には0.06%以内で連動していた。二つの相場が実際に語っているのは、欧州の投資家はこの決算を売り、米国の投資家は買った、ということである。
フェードは数字についてではなかった。すでに誰が持っていたか、についてだった。本日のカバレッジに流通していた目標株価は、すべて今四半期の前に設定されたものだ。6月22日にある社が$2,200へ、7月2日に別の社が€1,560へ、7月6日に別の社が€2,300へ、7月8日に別の社が€1,830へ、そして決算前日の7月14日に別の社が$2,000へ。市場は1か月かけて上振れ・引き上げを先回りしており、それが到来したときにはもう何もすることが残っていなかった。最も雄弁な事実はこうだ。今四半期を迎える時点で最も強気だったセルサイドのモデルは、2027年に91台、2028年に113台のEUVをすでに想定していた。いずれもASMLが実際に発表した約85台・約110台を上回る。公表コンセンサスを11.7%上回るガイダンスが、それでもウィスパーには届かなかったのである。これが混み合ったロングの姿だ。44のレーティングのうち33が最上位の確信度、平均目標株価が示す上値はわずか10%、そして転向させるべき限界的な買い手がもういない。
セクターの動きは、このフェードをASML固有の評決と読むことに反対する材料である。ASMLは決算を出した当日、SOXXを約4.5ポイント上回った。もし市場がこの決算を本当に拒絶したのなら、ASMLが同セクターの大型株で最高パフォーマンスになることはなかっただろう。より整合的な読み筋は、AI設備投資のバリュエーション低下が半導体全般に浸透しつつある中で、ASMLがそれに抗した、というものだ。これは好材料出尽くしの物語のほぼ正反対である。因果の方向を特定することはできないが、二つの読み筋の含意はまったく異なることを指摘しておく。一方はASMLは無事でセクターがぐらついていると言い、他方はASMLが能力について何かを告げたからセクターがぐらついていると言う。業界で最も重要なサプライヤーによる16%のガイダンス引き上げに対して、AMAT、LRCX、KLACに連れ高が一切起きなかったことは、少なくとも異例であり、腰を据えて考える価値がある。
セルサイドの視点
論点:含意される第4四半期は信用できるか
強気の見方:ASMLは今回の回復局面を通じて、今回を含め毎四半期、自社ガイダンスを上回ってきた。下期の出荷スケジュールは予測というより、すでに受注済みの装置の生産計画である。装置は存在し、顧客も存在し、CFOは下期の利益率ブリッジを十分な詳細で説明しており、売上高のブリッジも同等に詰められていることを示唆する。構成要素をボトムアップでモデル化した唯一のアナリストは、ガイダンスが低すぎるように見えると不満を述べたのであって、高すぎるとは言っていない。
弱気の見方:€14.4Bの四半期は、この会社がかつて計上したどの四半期をも48%上回る水準であり、しかも6か月以内に到来しなければならない。前期比約25%の成長が2四半期連続で起きた前例はここにない。€9Bのベースでガイダンスを上回るのと、物理的な生産量を1.5倍にするのとは別の作業であり、通期引き上げの全体がそこに懸かっている。第4四半期を10%外せば、通年は€42.5Bに着地する。7月に出したガイダンスの下限を下回るのだ。
当社の見解:強気派にわずかに分があり、理由は一つ具体的である。制約が需要ではなく製造であり、製造こそASMLがこの3四半期上回り続けてきたものだからだ。セルサイドからのボトムアップの不満は本当に安心材料である。開示された台数とインストールドベースのガイダンスが、すでにその数字を含意しているということだからだ。とはいえ、これを高確率のガイダンスとは呼ばない。これは実行リスクを伴う計画であり、市場はいまそれを既得権であるかのように織り込んでいる。今後2四半期でこの銘柄が急激にバリュエーション低下する最も可能性の高い経路は、まさに€14.4Bではなく€13Bを計上する第4四半期を通っている。
論点:AIスーパーサイクルか、それとも古典的なサイクル天井の過剰増強か
強気の見方:顧客は自らの顧客と複数年の長期契約を結んでおり、それが彼らにかつてない可視性を、そしてASMLにもかつてない可視性を与えている。2027年はほぼ受注済みだ。マルチパターニングがシングル露光EUVへ転換するにつれ、リソグラフィ集約度は数量とは独立に上昇している。これはASMLの売上高への支出の恒久的な移転である。そして拡張は既存設備の中に収まるため、追加が安く、止めるのも安い。
弱気の見方:75%成長する顧客基盤に向けて30%の能力拡張を2度連続で発表するサプライヤーというのは、半導体の歴史上、最も信頼できるサイクル天井のシグナルである。2028年の一手には受注が一切なく、CFO自身の認めるとおり「需要シグナル」があるだけだ。しかもASMLは、今日ひっ迫しているDRAM市場に約45%多いウエハ能力を追加しようとしている。それこそが、ひっ迫が終わるときの仕組みそのものである。メモリはいまやASMLの成長の過半を駆動しており、メモリが構造的だったことは一度もない。
当社の見解:両者とも実在するものを語っており、決着は経営陣が引いて市場が無視した区別の中にある。2027年は受注でカバーされ低リスク、2028年はシグナル駆動で正真正銘の投機的である。弱気論は2028年について正しく、今後12か月についてはおおむね無関係だ。当社を傾かせるのは既存設備の論点である。これは不況を通じて守り抜かねばならない資本コミットメントではなく、すでに所有する資産の稼働率の引き上げだ。ASMLは2028年について間違えるための、可能な限り最も安い方法を設計した。サイクルを予測できず、かつそのことを自覚している会社が取るべき行動そのものである。弱気派はサイクルが転換するという点で正しい。だが、そのときASMLが大きく傷つくことは立証できていない。
論点:2%の株価上昇に対する25%の利益予想改定は「割安」か「飽和」か
強気の見方:本日、予想は約25%切り上がり、株価は2%動いた。当社の数字では予想PERが約49倍から約40倍へ低下した。ASMLのマルチプルについて公に弱気だった、広くフォローされる独立系バリュエーション調査会社は、フェアバリューを予想PER 35-40倍と置いているが、株価はこの決算によってそのバンドに入った。決算前の予想マルチプルでは、ASMLはLam、KLAより割安に、Applied とほぼ同水準にスクリーンされていた。業界最高の競争ポジションを持ち、年初来では両社をアンダーパフォームしていたにもかかわらずだ。「もう織り込み済み」という論法は、それが反論していたはずのガイダンスによって無効化された。
弱気の見方:マルチプルが低下したのは分母が動いたからであって、市場が事業を再評価したからではない。そしてメモリサイクルのピーク年に対する40倍は、明らかに割安とは言えない。ポジションは極端だ。44人中33人のアナリストが最上位レーティング、平均目標株価は現値の10%上、そして12か月で2倍になった株価。正真正銘に優れた決算で7.9%ギャップアップし、下落で引ける銘柄では、限界的な買い手はすでに見つかり、すでに払ってしまっている。
当社の見解:算術については強気派が正しく、相場については弱気派が正しい。そして12か月のホライズンでは算術が勝つ。ガイダンスが16%上がった日に事業を18%安く買えるというのは、有利な予想改定の定義そのものであり、予想改定の傾きは1年のホライズンでは歴史的にポジショニングを凌駕してきた。とはいえ、当社は弱気派の論点を退けるのではなく抱えておく。それこそが、当社の確信度が上がるのではなく下がる理由だからだ。セルサイド全体がすでに最大限ポジティブで、平均目標株価が示す上値が10%しかない銘柄は、マルチプルの助けも、買いに転じる限界的な参加者もないまま、予想改定だけでリターンを稼がねばならない。フレームワークそのものがまだ争われていた第1四半期時点よりも、狭い道である。
モデル更新とバリュエーション枠組み
| 項目 | 従来モデル(2026年第1四半期) | 更新モデル(2026年第2四半期) | 理由 |
|---|---|---|---|
| FY2026 売上高 | €37.5-39B | €43-45B(モデルは€44B) | ガイダンス引き上げ。ランプにハンディキャップを付けず中央値を採用 |
| FY2026 売上総利益率 | 52% | 55%(54-56%) | ガイダンス+300bp引き上げ。下期の構造的ドライバー4つ |
| FY2026 営業費用 | n/a | ~€6.3B(研究開発費~€4.9B、販売管理費~€1.4B) | 第3四半期ガイダンスの年換算。変革関連費用は再発しない |
| FY2026 営業利益率 | n/a | ~40.5% | 導出値。増分営業利益率は約58% |
| FY2026 EPS | ~€29-32 | ~€39-40 | 売上高・利益率の引き上げ、株式数約1%減 |
| FY2027 売上高 | €43-47B | €54-59B(モデルは~€56B) | Low-NA EUV約85台(+30%)、液浸約169台(+30%)、2027年はほぼ受注済み。E/FミックスでEUVのASP上昇 |
| FY2027 売上総利益率 | n/a | 56-58% | Dモデル払底、E/Fミックス、数量レバレッジ、インストールドベース |
| FY2027 EPS | ~€34-38 | ~€54-59 | 台数、ASP、ミックス、オペレーティングレバレッジの複利 |
| 価格上昇 | モデル化せず | 引き続きモデル化せず | 意図的。経営陣は交渉力を認めたが時期を示さなかった。予想ではなくフリーオプションとして扱う |
| 12か月目標株価(ベース) | $1,100-1,250 | $2,000-2,250 | FY2027予想EPS約$63の32-36倍 |
| 12か月目標株価(強気) | $1,300-1,400 | $2,600-2,900 | 2027年6月のCMDでの2030年フレームワーク改定に40-44倍、加えて価格取り込み分 |
| 12か月目標株価(弱気) | $900-950 | $1,250-1,450 | 第4四半期のランプ未達とメモリ崩れで26-28倍:FY27売上高~€48B、EPS~€44 |
マルチプル低下が本件の核心である。決算前の$1,775.64、改定前のFY2026予想EPS約€31.8では、ASMLは約49倍で取引されていた。決算後の$1,815.27、ガイダンス反映後のFY2026予想EPS約€39.7では、約40倍だ。株価は2.2%上昇し、その日のうちに18%割安になった。第三者データは決算後の予想PERを37.9倍としており、方向性を裏づけている。FY2027予想EPS約€56に対しては、約29倍で取引されている。ドル換算はすべてEUR/USD約1.142を用いた。これは報告された実績の同時点換算から示唆されるレートであり、ユーロ高はADR建て利益にとって小幅な追い風となるが、モデルには織り込んでいない。
$1,815.27におけるリスクリワード。ベースケース$2,000-2,250は+10%から+24%を、強気シナリオ$2,600-2,900は+43%から+60%を、弱気シナリオ$1,250-1,450は-31%から-20%を含意する。ベースを55%、強気を20%、弱気を25%で確率加重すると、期待リターンは約+13%となる。指数の期待値が一桁台半ばから後半であることに対しての数字だ。これはアウトパフォームではあるが、第1四半期に公表した2.5:1の非対称性より薄いものであり、ベータ約1.4を踏まえると余裕は快適とは言えない。正直に要約すれば、ファンダメンタルズはリスクリワードよりはるかに大きく改善した。価格のほうが先に動いてしまったからである。
当社の見方が変わる条件。上方向:報告されたASPに現れる価格の取り込み、€12Bを超える第3四半期の実績、あるいは2027年が完全に受注済みと確認され、かつ台数計画が85台超へ引き上げられること。下方向:€13Bを下回る第4四半期、回収による相殺のないまま第3四半期も売上債権が積み上がり続けること、あるいは2028年の検討が縮小されている兆候。
決算後の投資命題スコアカード
今四半期は、当社の2026年第1四半期レビューで最後に論じた標準の投資命題に照らして採点しており、新たに立てた柱に対してではない。ASMLはこれまで正式な投資命題の記録ファイルを持っていない。以下の柱は、2025年第3四半期の格上げ以来、当社が公に論じてきたものであり、ここで形式化し、この時点から先へ引き継ぐ。
| 投資命題の柱(標準) | 状況 | タグの動き | 今四半期が示したこと |
|---|---|---|---|
| 強気1 — 需要フレームワークの進展:四半期ごとに床が上がり、不確実性が圧縮される | 確認 | オントラック、そして成就 | €36-40Bから€43-45Bへ一段で、中央値+15.8%、利益率+300bp。進展は完了した。回復すべきフレームワークはもう残っていない。この柱は役目を終え、退役する。 |
| 強気2 — 構造的なEUV独占が2031年まで延長(1,000ワット光源、330 wph) | 確認 | オントラック(変更なし) | 今四半期は取り上げられなかったが、DからE/Fへの生産性ステップと、30%多い箱に対する約45%のウエハ能力の上乗せは、同じ堀が商業的に発現したものである。 |
| 強気3 — 複数年の能力ランプはガイダンスに裏打ちされており、テーマ株的ではない | 確認、かつ引き上げ | オントラック、強化 | 2027年は「最低80台」から約85台のLow-NA EUVへ引き上げられ、条件付きから「受注でほぼ完全にカバー」へ格上げされた。2028年は実在する受注残を伴い約110台を検討中。液浸も2027年に+30%が上乗せ。 |
| 強気4 — メモリは完売、AI需要は構造的 | 確認 | オントラック、ただし構成は検証不能 | メモリのシステム純売上高は>+75%のガイド、システム純売上高の49%、メガファブ計画、複数年LTA。しかし経営陣がHBMとDDRの分離を拒んだため、構造的/循環的の内訳は検証できない。 |
| 強気5 — High-NAが認定から量産へ移行 | 確認 | オントラック、依然として非重要 | Intel 18AがPanther Lakeで量産入り、業界初の量産ロジック製品。しかしレイヤーはコミットではなくデュアル認定であり、売上計上は4-5台にとどまり、最大顧客は約2029年へ先送りしている。 |
| 強気6(新規) — 第二のエンジンとしてのオペレーティングレバレッジ | 確立 | 新規 — オントラック | 売上高+21.3%に対し販売管理費+1.3%、従業員数+1.7%。FY26は約58%の増分営業利益率を含意。CFOは野心的なロードマップに対して研究開発人員を横ばいに保つと明言。 |
| 弱気1 — バリュエーション:複利成長がますます織り込まれている | 反証 | 浮上 → 抑制 | 今回の決算によって、逆説的に弱まった。予想は約25%上昇したのに対し株価は2%。予想PERは約49倍から約40倍へ低下し、最も引用されるバリュエーション弱気派のフェアバリューのバンドに入った。決算前の時点でASMLはLRCX/KLAより割安にスクリーンされていた。 |
| 弱気2 — 顧客のファブ準備状況が能力計画の律速になる | 反証 | 抑制 → 後退 | おおむね当社に有利な形で解消し、事実上反転した。2027年はほぼ受注済みで、拘束的な制約はいまや顧客の意欲ではなくASML自身の生産量である。この柱は退役し、弱気4に置き換わる。 |
| 弱気3 — 輸出規制と中国 | 中立 | 抑制(変更なし) | 中国は純売上高の約20%で安定し、全社と同水準で成長。しかし話題はまったく議論されず、€6Bのガイダンス引き上げには、第1四半期ガイダンスと違って政策上の緩衝の再言明が伴っていない。 |
| 弱気4(新規) — 下期の実行リスク | 確認 | 新規 — 浮上 | ガイダンスは約€14.4Bの第4四半期を含意する。今回発表の四半期比+54%、史上最高比+48%。前期比約25%の四半期が2度連続という前例はない。いまやこの銘柄における支配的な短期リスクである。 |
| 弱気5(新規) — 2028年の能力増強分におけるサイクルリスク | 浮上 | 新規 — 浮上 | 75%成長するメモリ市場に対して+30%、さらに+30%。しかも2028年分にはCFO自身が認めるとおり発注(PO)の裏づけがない。拡張が既存設備の中に収まり、それゆえ巻き戻しが安いことにより、実質的に緩和される。 |
| 弱気6(新規) — 運転資本と現金転換 | 浮上 | 新規 — 浮上 | 上期FCFは上期純利益€5,674Mに対して€1,291Mのマイナス。売上債権は2四半期で+€4.16B、DSOは29日から71日へ。おそらく2025年第4四半期の前受金の巻き戻しだが、誰も検証していない。 |
総括:投資命題はファンダメンタルズで強化され、リスクリワードで狭まり、そしてその性格が変わった。強気の柱6本のうち5本が確認され、新たな強気の柱が1本確立し、標準の弱気論点3本のうち2本が弱まるか退役し、新たな弱気論点が3本導入された。これは一見すると文句なしの勝利であり、事業についてはそのとおりである。しかし、2025年第3四半期以来このレーティングを支えてきた柱、すなわち需要フレームワークの漸進的な回復は、いまや完全に成就して退役した。もう回復すべきフレームワークはない。それに代わるのは、より狭く、より実務的な命題である。ASMLは6か月で物理的に約€25.9Bの売上高を作らねばならず、その後2027年6月のキャピタルマーケッツデイが、同社が今年中に下限を超えてしまう長期フレームワークを改定しなければならない。どちらも実現するほうが確からしい。だがどちらも、フレームワーク・トレードが持っていたようなほぼ確実性ではない。
アクション:アウトパフォーム据え置き。確信度は10段階中7、第1四半期の暗黙の8から引き下げ。既存ポジション:フルウェイトで保有継続。予想改定が株価の動きを上回っており、25%の予想引き上げに向けて減らす理由は見当たらない。新規建て:平均目標株価が示す上値が10%しかない混み合ったロングにおいて、$1,815.27で追いかけるつもりはない。より良いエントリーは、第3四半期の売上債権や第4四半期のランプ不安による揺れであり、それは1月の決算までのどこかで到来する可能性のほうが高いとみている。ポジションサイジングは、これがもはや直近3四半期のフレームワーク回復トレードではなく、11か月先に日付の決まったバリュエーション再評価の触媒を持つ、製造実行への賭けであることを反映すべきである。